各キャラクターに関する史実
当ドラマ『月の恋人』は、高麗(コリョ:고려)第4代王・光宗(クァンジョン:광종)王昭(ワン・ソ:왕소)の人生を中心に描かれています。
史実的なモチーフや年代はそれなりに合っていましたが、順序や設定が史実とは異なることも多々ありました。
そのあたりも含めて、個々のキャラクターを見てみましょう。
光宗(クァンジョン:광종:在位949-975)王昭(ワン・ソ:왕소:925-975)
けれど、暴君と呼ばれてないのにはそれなりの理由があります。
建国後の安定をもたらすために、古今東西を見ても3代目あたりは何かしらの締め付けを行うものです。
第2代第3代と在位期間が短かったため、実質的には第3代に相当すると言っても良い彼は、善政の部分もありつつ政敵またはその予備軍をことごとく排除しました。
その知性は後年の朝鮮(チョソン:조선)第3代・太宗(テジョン:태종)李芳遠(イ・バンウォン:이방원)と類似しています。
光宗は混乱期に奴婢になってしまった者を解放したり、科挙を導入したりと、治世の前半では賢王でした。
中盤から後半にかけては、2度の大規模な豪族に対する粛清を行い、息子である後の景宗(キョンジョン:경종)をも疑うような王となりました。
治世の最後にまで生き残った過去の功臣と将帥は40名(または40家)余りだったとの記録があります。
父王・太祖(テジョ:태조)王建(ワン・ゴン:왕건)が功臣に冊封したのは3200名といわれているので、寿命うんぬんがあったとしても、この減少数を見ると、いかに苛烈な粛清だったかがわかります。
朝鮮太宗との大きな違いは、息子だったかもしれません。
朝鮮太宗の息子はかの有名な世宗(セジョン:세종)です。
光宗の息子景宗は酒に溺れ、わずか7年の治世で世を去りました。
王建は新羅(シルラ:신라)に倣って、外戚を排除し王建を強化すべく近親婚をさせました。
光宗もまた、父王の制作を踏襲しています。
彼の息子・景宗は、光宗と異腹妹(劇中ではヨナ)大穆王后 皇甫氏(テモクファンフ ファンボシ:대목황후 황보씨) の子で、近親婚の弊害で短命だった可能性も否定できません。
その後の高麗は、ほぼズタボロと言っていい状況が続きますが、それもまた、初期の近親婚による弊害が尾をひいたためともいえます。
定宗(チョンジョン:정종:在位945-949)王堯(ワン・ヨ:왕요:923-949)
劇中ではワン・ソに対して悪態の限りを尽くしたワン・ヨでしたが、これについては史実を大きく外しています。
実際にはワン・ソがワン・ヨを輔弼し、皇帝になる際にも大きな助力をしています。
また、ワン・ヨも病状が悪化すると、幼い我が子にではなく、ワン・ソに王位を譲る旨を早くから決心していたと言われています。
後年、豪族とともに王族を粛清した光宗ワン・ソによって、定宗ワン・ヨの子・慶春院君(キョンチュウォングン:경춘원군)は殺されてしまいます。
兄弟の義理も、王位の前では風前の灯ですね~。
王旭(ワン・ウク:왕욱:?-969)
といっても息子の成宗(ソンジョン:성종)が王位についたことによる追尊王なので、歴史の流れの中で王位についたわけではありません。(戴宗:テジョン:대종)
また、劇中では第8皇子でしたが、生まれた歳が明確になっておらず、5・6・7番目のいずれかだろうと言われています。
成宗が961年生まれということからもわかるように、どうやら若くしてなくなったのではないかとされています。
また、彼の外孫二人も王位についています。
これは、長女と次女が王を産んだことによるもの。
長女は千秋太后(チョンチュ テフ:천추태후)として有名な獻哀王后(ホネワンフ:헌애왕후)で、次女は最終回の後半に登場した獻貞王后(ホンジョン ワンフ:헌정왕후)です。
獻貞王后は歴史的大スキャンダルの張本人なのですよ!(後述)
ペガ 王郁(ワン・ウク:왕욱:?-996)
ただし、年齢設定は史実通りではありません。
新羅の降伏以降で王建が存命中に生まれたと考えると、936年から943年の間となり、ドラマの初期ではせいぜい4・5歳でした。
彼こそが歴史的大スキャンダルの一翼を担った人物でもありました。
ウクの次女・獻貞王后はワン・ソの子・景宗(キョンジョン)に第4継妃として嫁いだものの、すぐに夫に先立たれてしまい、私家に下り生活していました。
そして、その隣人だったワン・ウクと密通、不義の子を生みます。
獻貞王后は子を産むとともに亡くなったのですが、当時王だった獻貞王后の兄・成宗(ソンジョン)は怒り、ワン・ウクを流刑としたのです。
ワン・ウクの死後、その時の子が即位し顯宗(ヒョンジョン:현종)となり、ワン・ウクもまた安宗(アンジョン:안종)として追尊されました。
ウクの家で出会った少女ポクスンには、そんな秘密が隠されていたのでした。
(ポクスン役は、もっと可愛い子はいなかったのでしょうか?)
王貞(ワン・ジョン:왕정)
ワン・ソの実弟であることは確かなのですが、生没年も含め、ほぼ記録が残っていません。
文元大王(ムンウォン デワン:문원대왕)という王号が残っているものの、これについても、どうして付けられたのかもわかっていません。
王垣(ワン・ウォン:왕원)
これまで紹介した人物は王后の子でしたが、彼は功臣家から嫁いだ後宮の子です。
高麗史には、性分が荒く、つまらない人たちとつきあい、密かに他の考え(謀略)を抱くので、光宗が彼を処刑したと書かれています。
ドラマの描写のままにダメ人間だったのでしょう。
ワン・ウン
彼もまた後宮の子です。
廣州院君(クァンジュウォングン:광주원군)として名前は残っているものの、諱は残っていません。
祖父・王規(ワン・ギュ:왕규)が起こした反乱の際に、処刑されたものと思われています。
このワン・ギュの乱自体もワン・ヨ、ワン・ソ兄弟と王式廉(ワン・シンニョム:왕식렴)の謀略ではないかと言われており、廣州院君は不遇の死を遂げたといえます。
ちなみに、婚姻したスンドクは架空の人物ですよ。
崔知夢(チェ・ジモン:최지몽:906-987)
三韓統一や恵宗(ヘジョン:혜종)の暗殺を予知したと言われているチモン。
恵宗の友人として描かれていましたが、彼は恵宗を裏切ったのではないかとの説が有力です。
というのも、王建は訓要十条(フンヨシプチョ:훈요십조)により、後百済の古地出身者は重用しないようにと述べていたのに、定宗(チョンジョン)、光宗(クァンジョン)と重用し続けたからです。
ドラマ内では彼は自分から王宮を去っていきましたが、史実は異なります。
光宗の晩年970年に、彼は酒によって王権強化策を批判、そのため罷免されて追い出されました。
その10年後、景宗(キョンジョン)に再び登用されることとなります。
最近の史劇は史実を知らなくても楽しめるフィクション過多なものが多いですが、知っていると『ほほ~、そうきたかぁ~』と、少し上から目線で楽しむこともできますよ!
ぜひ続編を!
多くの方がご存知のように、中国の原作版では、皇子たちが現代に転生したバージョンが放送されています。
『月の恋人』が大ヒットしていれば間違いなく続編は制作されたのでしょうが、今回の視聴率では微妙なところです。
けれど、やはり、個人的には現代版がみたいです。
IUの演技も史劇では落第点でも、現代劇ならなんとかなる可能性もあるし、他の若い出演者も、現代版のほうが力を発揮できるような気がします。
最後にワン・ソも言っていました。
『お前とオレの世界が同じでないなら、オレがお前を探しに行く。オレのスよ!』
って。
あらすじはぼちぼちとアップしていきます。
最後までやるので、気長に待っていてください!
文責:韓国ドラマあらすじ団
コメント
こんにちわ!私は中国版は見てないので比較無しに見終わりました。配役に関してはイ・ジュンギさんとIUさんがミスマッチだなあ!と思いました。イ・ジュンギさんの演技力が迫力があってIUさんが負けてしまった~できればキム・ゴウンさんのヘスが見てみたかった!あくまでも個人的な意見です。私も、もう少し現代との行き来がある方が面白かったのでは?と思いました。ヘスが残した子供に出会ったシーンをもう少し感動的にして欲しかったです!あれほど愛したヘスと自分の子供なのに!追憶のシーン位入れて欲しかったです。まあ、でもジョンに宮廷に来ること許したことで娘に会いたいと言う光宗の気持ちを表現したのでしょうが!続編があれば?イ・ジュンギさんの相手役はそのままで行くのかな?最後の光宗が振り返ったシーン!表情の演技力に感動しました。
おはようございます。
韓国でこのドラマの放送が終わり、ややロス気味です。つっこみどころも多いドラマでしたが、中毒性があるというか、嵌るドラマでした。イ・ジュンギがともかく魅力的でしたから・・・
実は、最終話のペガが第8皇子の屋敷で少女と会う場面がまったく意味不明でした。ウヒと関係がありそうな少女が、何故、第八皇子の屋敷にいるのか??? ですが、この記事を読んでようやく、得心しました。ペガのスキャンダルのお相手は第8皇子の娘だったんですね。ペガが未亡人の王后とスキャンダルを起こすことは知っていたのですが、その王后がまさか第八皇子の娘だったとは・・・。有名な事件のようですから、韓国の視聴者は「こうきたか・・」と思いながらこの場面を見たことでしょうね。
ヒロインのIU。中国での人気も高いようなので中国を意識したキャスティングだったのでしょうか。やっぱり、ちょっと残念な演技でした。私は、キャスティングの段階でちらりと名前があがっていたファン・ジョンウムにやってもらいたかったなと思っています。
こんにちは。詳しい情報をありがとうございます!より深く楽しめます!IUの演技力ですが、私は予想外に良かったと思ったのですが、いかんせん脚本がダメだったという点においては強く賛同します!プロローグが長すぎてしまい、大切な中盤以降が急ぎ足になってしまいました。ジョンとペガがスに好意を持つ過程がまったく描かれていません。とにかく脚本が酷すぎましたね。本筋ではありませんが、ウクの妻ヘ夫人、スンドク、オ尚宮のサブストーリーが美しかったです。同じ脚本家なのに・・・と考えると、原因はやはりIUの演技力なのかな、、、う~ん、わからないです。一番不可解なのは、ソをあそこまで嫌う母が意味不明でした。ともあれ、イジュンギさんの演技力が素晴らしかったので、最後まで楽しみましたれども~。