韓国でのトッケビの概念
日中の鬼の概念を見てきましたが、いよいよ本丸のトッケビです。
両国に挟まれているため、概念もまたその中間にあるのでは?と、推測できます。
では、実際にどうなのか見てみましょう。
まず注目しなければならないのが、トッケビ(도깨비)という言葉は固有語だということです。
これは少々厄介で、概念がその地域のオリジナルであることを意味します。
例えば、自動車という言葉は、日韓で100%同じものを意味しますし、英語のCarも100%同じものです。
しかしながら、固有語への対訳は100%同じにならないことが、少なからず起きてしまいます。
だから辞書に記載されている訳が複数あるのですよね。
また、近似の言葉をチョイスしている可能性も否めません。
Web辞典の範囲ですが、トッケビの特徴をピックアップしていきます。
- トッケビは人の形をしているが、人ではなく想像の存在
- トッケビは特定の存在を指すというよりは、似たような特性を持った存在の総称
- 一般的に韓国固有のトッケビは、韓服を着て笠をかぶっている
- 大多数のトッケビの姓は金氏
- 鬼神・怪物と認識されているが、トッケビは人をいじめたりするよりも、純で愚直、一緒に遊びたがり親しく付き合おうとする
- 除け者にされたら腹を立て、体面を重視する一方、嫉妬も多く、少しぼんやりしていて愚かさを持つ
- そば・マッコリ・話・歌・シルム・いたずらのようなものを好む
- 赤い色を嫌い、小豆、血などはトッケビを追い払うとされている
- シルム(相撲)が好きで、道行く旅人を呼び付けて相撲をしたりもする
- 人が死んだあとに生じることはなく、ほうき・火かき棒・割れた鉢・草履などが古くなるとトッケビが発生する(多くの古典で、古い物から発生すると記録されている)
- 現代韓国のトッケビの概念は日本による韓国併合時に流入した可能性が高い
- 神通力がある
- 一本足なのにシルム好きなトッケビは、足を引っ掛けられて負け続ける
- 下半身しか見えないほど大きなものもいる
- 時には美女・翁・農夫など人の姿で現れる場合もある
- トチェビ(도채비)・虛主(ホジュ:허주)・獨脚鬼(トッカックィ:독각귀)・魍魎(マンリャン:망량)・魑魅(イメ:이매)・狐魅(トッカビ:독갑이)・虛體(ホチェ)・ヨンガム(영감:済州島)とも言う
- 朝鮮半島の2大歴史古書で説話の多い三国遺事( サムグクユサ:삼국유사)にも記述がある
赤鬼さんはありえない?
韓半島由来のトッケビは、赤が嫌いとありますね。
そういえば、どの歴史ドラマだったか忘れましたが、トッケビを追い払うために小豆を用意するうんぬんのクダリがあったように思います。
日本だと追儺は大豆ですが、韓国でトッケビに出会ったときに大豆で追い払ってはダメですね(笑)
というか、赤が嫌いという前提だと、韓国では赤鬼はいるはずがありませんね?
やはり、現代の韓国人が持つトッケビ(鬼)の概念の一部は日本由来のもののようです。
実際、そのような学説もあるし、そのうち是正されるかもしれません。
第2話ではウンタクが彼氏のリサーチとしてトッケビが出てくる絵本でリサーチをしていましたが、赤鬼さんも描かれていましたよ。
きっと日本から移住して行った赤鬼さんでしょう(笑)
キム・シンはトッケビなのか?
そもそもキム・シンはトッケビなのでしょうか?
定義では、人から生ずることはなく、モノから生ずるとあります。
日本で言う付喪神(つくもがみ)がトッケビと言えます。
あれれ・・・?
キム・シンが持っていた剣がトッケビになったのならば問題はなかったのですが、キム・シン自身だといささか問題がありですね。
キム・シンは、狭義のものではなく、鬼神や怪物をひっくるめた広義のトッケビの一種のなのでしょうか?
また、前置的サブタイトルだとトッケビは『寂しくてきらびやかな神』とされています。
神ということはトッケビではない?
それとも、半島固有のアニミズムでは、日本のように神であろうと異界の者は皆トッケビ?
ドラマを見る上では、キム・シンこそがトッケビだとして見るほうが良いようです。
トッケビの大部分はキム氏だし(笑)
まとめ
今回は歴史愛好家の脱線の過程を紹介しました(笑)
何かの折に役に立てばなと思います。
業務連絡
『青い海の伝説 第6話』→『トッケビ 第2話』の順にアップします。
ちょっと文字数を減らさないと持ちそうもないので、ボリュームが減るかもしれません。
では、しばしお待ちを~!
文責:韓国ドラマあらすじ団
コメント
初めてコメント欄に投稿します。定年直前に友人から韓ドラを進められ、すっかりはまりこみましたが、韓国語の勉強はそれこそ40の手習いならぬ70台になっても進捗しません。で、韓国のサイトからドラマはダウンロードするのですが、日本語のサブはほとんどないので、英語のサブで視聴しています。これまで見たドラマのメモを作りましたが、これもまとめ切れていません。そこで、しょっちゅうこのサイトにお邪魔して、英語で理解できないところを十二分に補ったりして見続けています。歴史物が好きなのですが、韓国でもそろそろ題材不足ですか。最近見ごたえがあったのはチンビロクでしょうか。獄中花はフィクションなのでちょっと期待外れでした。貴サイトの推薦?に従って、現代ものも見始めています。(サイト運営のエネルギーにおどろいています!)
今後ともよろしくお願いします。