ヨンギュが手にしていたものはムシロだった。席藁待罪(ソッコデジェ:석고대죄)を始めるパンウォン。
明での出来事は外交の助けになるかと訂正をためらっていたのは事実だと言い、厳罰に処してくれと叫ぶ。
出てきてやめてくれと兄に請うパンソク。
死ぬ日まで邸下(チョハ:저하)に忠誠を誓うと涙するパンウォン。
少し離れたところまでやってくる、イ・ソンゲと神徳王后(シンドクワンフ)。
『兄上、早くお立ちください』と、パンウォンの手を引っ張り上げるパンソク。
やって来てパンソクに駆け寄るチョン・ドジョン。
涙を流しながらも不敵な表情を見せるパンウォン。
席を移すパンウォンとチョン・ドジョン。
『世子邸下に自らを小臣と下げて呼び、忠誠を誓われたのですか?』と、チョン・ドジョン。
『はい。これまでの誤りを悔いて、父上と三峰大監の意のままに静かに生きようと思います』と、パンウォン。
『碁を打ち石を投げて降伏した後に、奇襲的に次の手を置くつもりですか?それならば、それはすでに碁ではありません』と、チョン・ドジョン。
『それは何のお言葉なのか・・・』と、パンウォン。
『結局、最後まで行かれるというのですか?』と、チョン・ドジョン。
『言葉をお聞きになられたではないですか。これからは、ただ世子邸下に忠誠をつくすと!』と、パンウォン。
『パンウォン!』と、チョン・ドジョン。
『そう呼ばれるので、涙が出そうです』と、パンウォン。
『宝位に上がりたいのか?どうして?私が作ろうとする国とは別の国を夢見るのか?国家に対して思想に対して制度に対して、私と別の考えがあったのか?
国王五則のうちの5番目、王の宗親(チョンチン:종친)は政治に参加してはいけない。それに絶望して憤怒したのだろう?なのに、お前が王になったらどうなるというのだ?宗親が政治に関与して実力を行使するようにただ放っておくか?
ただ科挙を通じて官吏を選び、その役人たちが上には諌争して互いを牽制するこの制度を、お前が王になればしないつもりか?でなければ、私がしようとすることとは異なり、私兵を廃止しないで中央集権をあきらめ、前朝高麗のように王子らと有力人物たちに私兵を持たせるつもりなのか?
すべて違うのではないだろう?おそらくお前が王になれば、お前の性情を見るに、各官吏たちに対する人事権程度を持とうとして、彼らを直接見回そうとするだろう。また、私のような理由で. 建国初期なので仕方ないと、せいぜい、その程度の違いではないのか?違うか?』と、チョン・ドジョン。
『すべてその通りです。お師匠様』と、パンウォン。
『結局お前は、国家に対して私と別の理想があるのではなく、自らせねばならないという、お前の私利、私心、私欲、私的なお前の夢、それが全部なのではないか?』と、チョン・ドジョン。
『私的な夢だとダメなのですか?』と、パンウォン。
『これは大義で公義なので、どうしてそれでいいといえる?』と、チョン・ドジョン。
『同じ物なら、私がしてもかまわないのではないですか?必ずパンソクがしなければなりませんか?』と、パンウォン。
『もう、あまりにも外れたことではないか?』と、チョン・ドジョン。
『はい、外れて曲がり、切れてしまいましたよ。それで、前道を問わず、私の夢に向かって行きつくでしょう。新たな国を望むかと? 別の信念があるのかと? はい、ありません。どうして私にそれがなければならないのですか?』と、パンウォン。
『パンウォン!』と、チョン・ドジョン。
『私のチャントゥガル(最強の男)はあなたでした。私の夢は、あなたが作ったその美しい国を、私が見守るということでした。なので、私は持たねばなりません』と、パンウォン。
『きさまは、本当に毗曇(ピダム:비담)のようなやつだな。聡明で申し分なく、世の人を意のままにつかむ豪胆と気概、世の中を見回す鋭い洞察があるが、誤った欲望をどうする事もできず、大義を誤らせるのだな。 ピダムは、私的な謀反で捕われたし、お前は私的な権力欲にどうすることもできないから、もう、どうしようもないな』と、チョン・ドジョン。
『さらに、一つが異なるでしょう。ピダムと私は。ピダムは敗北者ではないですか?』と、パンウォン。
『そうだな、後日は誰も分からないのだ。けれど、ピダムも金庾信(キム・ユシン:김유신)の刃に倒れトンマンの前で死んだその日の前までは分からなかっただろう。自身が、敗北者だということを』と、チョン・ドジョン。
『はい、碁はまだ終わってはいませんでした!私の毒手は、まだ置いてもいませんでした』と、パンウォン。
※毒手・・・囲碁における慈悲のない致命的な手
パンウォンの席藁待罪(ソッコデジェ)を目にしても、パンウォンに対する猜疑が止まらない中殿。このままにしていてはダメだと、必死でイ・ソンゲに訴える。そして倒れる。
恭譲王(コンヤンワン:공양왕)の子どもたちはチョク・サグァンを叔母と呼んでいる。彼らはミョサンの居酒屋の隣の倉庫に忍び込んで遊んでいた。また、矢尻を手に持っていた。チョク・サグァンはそれを目にして、どうしてこのようなものが泮村(パンチョン)に?と驚く。
そこにムヒュルがやってくる。
武士様、どうか知らないふりをしてくださいと、チョク・サグァン。
上王殿下の話は聞きましたと、ムヒュル。
復讐のようなことは考えていません、あの洞窟でも私を殺しはしませんでした、なので、今回も知らないふりをしてくださいと、チョク・サグァン。
はい、わかりましたと、ムヒュル。
ところで、すごく変わられましたと、チョク・サグァン。
互いに会釈して別れる。
チョンニョンから昨日の朝に国境を超えたとの報告を受け、思ったより早かったなと話すパンウォン。
便殿。明の使臣が書簡を持って入っている。代読する官吏。
明に人を送り王家の書簡である表箋(ピョジョン:표전)を上げたということで礼があると認める内容だ。けれど、途中から、文章で朕を欺いたと、皇帝の怒りの内容となる。
『ゆえに、お前たちが送った使臣は、送りかえさない。また、文を作った撰文者と校正者、そして、その責任者であるチョン・ドジョンなど・・・この者たちをすべて明に・・・押送せよ!』
『貴様の毒手というのはまさか、このことと関連があるのか?イ・バンウォン!』と、心のなかでつぶやくチョン・ドジョン。
『私の毒手をお受けください。お師匠様』と、心のなかでつぶやくパンウォン。
六龍が飛ぶ 第44話あらすじ1/2に続く
文責:韓国ドラマあらすじ団
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