不滅の恋人コラム。
第11回は「大提学(テジェハク)の自害と身体髪膚受之父母」です。
不滅の恋人(原題:大君・テグン-愛を描く:テグン-サランウル クリダ:대군 – 사랑을 그리다)特集ページ


不滅の恋人コラム11 大提学(テジェハク)の自害と身体髪膚受之父母
最近の歴史ドラマは歴史ドラマの形式ではあるものの、現代ドラマの要素が濃い事が多々ありますよね。
時代の流れにより、制作陣び感覚が現代風となっており、歴史考証することなく制作しているからで、今回の大提学(テジェハク:대제학)が自害しようとした設定にも、そんな雰囲気を感じました。
というのも、現代韓国では人生に行き詰まって自ら命を絶つことは決して珍しいことではないものの、当時の儒者としては決してやってはいけないことだったから。
身体髪膚(しんたいはっぷ)との言葉を聞いたことがありませんか?
韓国だと以下のように読みます。
身體髮膚 受之父母 不敢毀傷 孝之始也(신체 발부 수지 부모 불감훼상 효지시야:シンチェパルブ スジプモ プルガムヘサン ヒョジシヤ)
日本では「身体髪膚、之を父母に受く。敢えて毀傷せざるは、孝の始めなり」と書き下しますね。
この一説は孝経に記されており、孝行を尊ぶ儒者が子供の頃に学ぶ概念です。
この教えにより、髪を切ることさえも不孝として位置づけられているほど、精神的に強烈な拘束力を盛った概念でした。
それなのに大提学(テジェハク)ソン・オクは自宅でもなく出仕後に執務室で自害を敢行。
ちょっとありえない設定です。
親はすでに存命でないから孝もなにもないんじゃない?と思われるかもしれませんが、儒者というのは死体を掘り返されて八道にばらまかれることさえ恐れていました。
それほどに、孝経の教えが浸透しており、先祖から脈々と受け継がれてきた体を自ら毀損することは言語道断だったのです。
ましてや、自害なんてもっての外でした。
しかも、他人にわかるようにやってしまっては、家自体の格が問われ、「家族のため」とのドラマの設定も曖昧模糊になってしまいます。
さて、現在NHKの放送では第11話ですが、個人的に少し先まで視聴を進めています。
どうやら第10話での出来事が癸酉靖難(ケユジョンナン:계유정난)時に起きた騒乱を描いたものだったようです。
歴史上ではその際にほぼすべてのことが終わっていしまったと言って過言ではありません。
けれど、安平大君(アンピョンテグン:안평대군)をモチーフとしたイ・フィが存命なので、これから大きく史実とは乖離していきそうですね。
それもまたこのドラマの楽しみ。
どのような顛末を迎えるのでしょうか?
文責:韓国ドラマあらすじ団
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