グローリー・ホテルに戻ってくるユージン。
足元には泥がついている。
どこか荒涼としたところへお行きになったようですねと、工藤陽花(くどうひな:以下ヒナ)
両親がいるところにと、ユージン。
ホテルに書信が来ましたと、ヒナ
早速開封して読み始めるユージン。
「朝鮮に来てるとの消息を公使館から聞いた、私はいま咸鏡道(ハムギョンド)にいる、漢城にいつ行くかはわからないが、できるだけ急ぐようにするよ・・・高貴で偉大な者よ、朝鮮にきたことを歓迎する、君の存在が神がいるという証しだ、会いたいなユージン、神が常に君と共にあらんことを」
笑みを浮かべているユージンを見て、良い知らせのようですねと、ヒナ。
待っていた知らせだと、ユージン。
待っていた知らせにはお笑いになるのですね、まったくお笑いにならずにと、ヒナ。
けれど、ユージンはエシンと一緒にいたときは笑っていた。
伝えることがもっと有るのか?と、ユージン。
そうではないのですが、グローリーにいらっしゃる力がちょっとある男たちが皆あなたを気にしています、黒髪のアメリカ人、それも軍人でおありなのでと、ヒナ。
力がある男たちに気になる情報を尋ねてやるのも主人の・・・と、ユージン。
私が何かを尋ねるのなら、それは、全部女として尋ねるのですと、ヒナ。
要件が終わったのなら上がって行っていいか?客として尋ねるのだと、ユージン。
続けて気楽ですか?私のホテルに?主人として尋ねるのですと、ヒナ。
不満はないと、ユージン。
部屋が荒らされたって?と、ヒナ。
なくなったものはないと、ユージン。
それは幸いでしたが、普通なくなったものがなければ、バレたことなど有ると言いますがと、ヒナ。
賤民はいまだに賤民だと言っていた下男の話や、朝鮮でどんな男も恐れもなく路上に自分を立たせることはできないと言っていたエシンの話を思い出すユージン。
鶏屋。
オレはお前だけだと、スング。
冗談言わず鶏でも食べて、お嬢様が全て聞いていらっしゃるわ、時間も場所もなく優しいわ、とても!と、スングの胸をぶつ女将。
大きく咳払いするエシン。
エシンは扉を隔てた部屋の中だ。
掘っ立て小屋にアメリカ軍が来て、お前には婚約者が来たって?と、スング。
ええ、なので当分の間は掘っ立て小屋に行かないほうが良いようですと、エシン。
オレは当分の間だが、婚姻すればお前はずっと大変だろうと、スング。
いやです、私はそうは生きませんと、エシン。
生きないって、家門と家門の約束なのにと、スング。
逃げて行きます、イギリスだろうとフランスだろうとドイツだろうと、朝鮮の外にも朝鮮のための道があるはずですと、エシン。
お前の意思はわかったので、一旦近いところから行ってこいと、スング。
どこですか?と、エシン。
アメリカ公使館、盗んだ銃だ、戻してやらないと、オレたちは盗賊じゃないと、スング。
思わず勢いよく扉を開けてしまったもののすぐに半分戻して・・・オレたちですって、お師匠様?盗んだのはお師匠様なのに、なぜ返納は私がするのです?と、エシン。
お前はオレの味方だってと、スング。
ムカついて扉を締めるエシン。
野原で馬を走らせているユージンとカイル。
そこに籠が。
どうした?と、カイル。
知ってる籠でと、ユージン。
朝鮮の貴族なのか?と、カイル。
ああ、とても家柄の良いと、ユージン。
公使館の彼では?と、ユージンに気づくハマン宅(テク)。
扉を開けてユージンを見るエシン。
籠は止まらずに進み続ける。
お前を見たようだけど?と、カイル。
見たかったようだなと、ユージン。
あの女人がお前を?と、カイル。
いや、オレがあの女人を今知った・・・行こう、腹が減ったと、ユージン。
お前オレに隠れて・・・ヘイ、一緒に行こう!と、カイル。
このチキンスープすごくうまいなと、カイル。
皮肉だが、オレが朝鮮に来てまずはじめに食べた食べ物がこれだった、オレが朝鮮にいたときは一度も食べたことがなかったというのだと、ユージン。
どうしてだ?鶏が貴重でか?と、カイル。
いや、オレの身分が卑しくてと、ユージン。
ユージン、もっと食べろ、たくさん食べろ!主人、ここに2杯くれ!と、カイル。
いや、大丈夫だと、ユージン。
主人はどこへ言ったんだ?・・・ところで、さっきの貴族の女人の話だがと、カイル。
ローガン・テイラーの話だが、オレがこしらえたサンドイッチ・・・と、ユージン。
気になるのに!と、カイル。
本国に何かもっと報告したことはなかったのか?と、ユージン。
どんな報告?と、カイル。
あの者が朝鮮でアメリカの品位だけ下げたのではないようだ、日本人たちが彼の遺族を注視している、ローガンが何かを持っているようだ、とても価値の高い秘密のようなものと、ユージン。
危ないという話だな、それはもう探るな、締めた事件で、紛失したものを探すのはオレ達の仕事じゃないじゃないかと、カイル。
便殿。
イ・セフンが根拠のない噂について話を切り出す。
朕が露清銀行で秘密資金を刈取ったというその噂か?と、高宗(コジョン:고종)。
そうです、民が口にする些細な風聞ではありますが、もしもこの噂が日本公使の耳に入っていけば、朝鮮にとって困り果てることに・・・と、イ・セフン。
日本人たちが知らないことがあろうか?・・・けれど嬉しいのは、日本側でも証拠を探せてないこと、そなたが今朕をより見ているのではないか?高宗。
陛下、それはどんなおっしゃりようでしょうか?小臣はただ・・・と、イ・セフン。
いま外にイ・ワニクが入ってきておりますと、イ・ジョンムン。
入れ、卿はもう出て行けと、高宗。
下がるイ・セフン。
入ってくるイ・ワニク。
陛下、駐日韓国公使の任務を努めて戻ってきましたイ・ワニクです、礼をお受けください・・・陛下、お元気であらせられますかと、イ・ワニク。
卿が戻ってきたので、そうならねばならないだろう・・・そなたが日本から持ってきた話などを漸次聞いた、朝鮮に戻る道が遠く、そなたはしっかり休み、体と心を整えよと、高宗。
聖恩の極みにございます陛下と、イ・ワニク。
出てきたイ・ワニクはイ・セフンを無視する。
こんな生意気なやつを見たか、訳官のやつは出世しても訳官のやつなだけだ、いくら世が変わったとしても、卑しい身分がどこへ行くのかという話だと、イ・セフン。
振り返るイ・セフン。
口からでは?法度があり上下が有るのに挨拶もせずに突っ立っているのだ?と、イ・セフン。
そんなイ・セフンをぶん殴るイ・ワニク。
私の挨拶だ、元気だったか?称賛はしっかり聞いたぞと続ける。
そして、輿に乗って去っていく。
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