工藤陽花(くどうひな:以下ヒナ)の部屋に手紙が差し込まれる。
ユージンを召喚を命ずる文で聖聴補佐との印が押してあった。
読み終えてそれを燃やすヒナ。
アメリカ大使館に出向くヒナ。
ここにどんな用で?と、ユージン。
王宮から便りを伝えよと、非公式的にと、ヒナ。
私にですか?と、ユージン。
軍服を脱いで洋装をなさってください、腰に差しているものも置いて行かねばなりませんと、ヒナ。
王宮で私に会おうという者が誰ですか?と、ユージン。
大韓帝国皇帝陛下ですと、ヒナ。
私をどうして?と、ユージン。
さあ、私は伝達をしただけ、内容は聞いていません、代わりに今回は、私がちゃんとしたキーを差し上げましょう、先日の故意に対する責任逃れと言いましょうか、王宮では誰に会っても英語をお使いください、宮内部の訳官を呼んで通訳させてと、ヒナ。
キーは、わざと間違って渡したのか?と、ユージン。
またそうしようかと思っていたのに、そのように早く指摘されるのできまりが悪いわと、ヒナ。
また騙されるのでそうしましょう・・・いつどこに行けば良いのです?と、ユージン。
算段を伝えるヒナ。
何をそうご覧なのですか?ナウリ?と、トミ。
オレが空なのか黒い鳥なのかわからなくてと、ユージン。
同じように空を見つめるコ・サホン。
チャン砲手が来たと伝えるアボム。
黒い鳥一羽が全天を滅ぼすこともあると、そのままでも名文章ではないか・・・どのように育っているものか・・・と、コ・サホン。
ソアを逃がすために正規ルートではなく密航を計画しているスング。
そうなると金で解決するしかないため、コ・サホンに無心に来たのだった。
10年預けたエシンが、自分自身を守ることができるようになったのかと尋ねるコ・サホン。
多くの男よりもいいですと、スング。
多くの男よりも良い・・・どこに使えば良いのか、もしかして、すでにどこかで使ったのか?と、コ・サホン。
大監マニム・・・と、スング。
サンワンがその道に行った時も、私はそなたたちに金を出してやったな、結局、私が出してやった金が、私の息子を殺したさ・・・防いで防げないものだとわかっている、私が防げないことを、そなたにせよとは言わない、だから、エシンが上手く使えても、頻繁にではなく、たまには、知らないまま、そうしてくれ・・・と、コ・サホン。
そして、生かそうと・・・と言い、金子を渡す。
感謝するスング。
帰ろうとするスングに声を掛けるエシン。
宅内なので、しばし私に会って行けと、一時的に上からの言葉を使う。
お祖父様とお話ししていたことを聞きました、その女人は未だに安全ではないのですか?それなら上海にはいつ?と、エシン。
今回のことはわたくしが良いようにと、スング。
私が、私が必要なはずです・・・私が救った女人です、安全であることを願います、締めも私がします、次はまた抜けます、知らないふりもします、本当ですと、エシン。
事を起こす場所は済物浦(チェムルポ:제물포)ですと、スング。
はいと、エシン。
誰に似てこうでおありなのか、2度聞きもせず、ただ「はい」・・・と、スング。
え?と、エシン。
その子の命もぶら下がっていますが、お嬢様の命もぶら下がっていることですと、スング。
はいと、エシン。
便殿。
陛下、アメリカ公使館の某が入りましたと、イ・ジョンムン。
一礼する洋装のユージン。
幼い歳で異国に渡って行ったと聞いた、大国の要職に上がり祖国に戻ってきて、日本軍の横暴に相対し、祖国の安寧に力を尽くしたので、本当に立派だと、高宗。
英訳する訳官。
朕が今日そなたを呼んだのは、朝鮮人のそなたに、アメリカとの交流について助言を聞くためだ・・・そなたが見るに、大韓帝国に対するアメリカの立場はどうなのか?と、高宗。
英語で答え始めるユージン。
まず、誤解があります、私は軍人で政治家ではありません、更に私はアメリカ人で朝鮮人ではありません、私の祖国はアメリカです、私がすることは朝鮮のためのものではなく、一人の異国の女人に対する助けだっただけです、アメリカ人の私が差し上げる、そのどんな助言も、朝鮮に有利であることはありませんと、ユージン。
陛下、恐れながら、大韓帝国は弱小国として、日本をはじめとする強国の助けを受け入れなければならないというのが、アメリカの立場だと言っておりますと、嘘の訳を伝える訳官。
そうなのか?それが本当にアメリカの立場なのか?と、高宗。
ところで、お前は朝鮮の言葉に精通していたのではないか?どうして訳官を通すのだ?と、イ・ジョンムン。
宮中の礼法を知りえず、訳官の助けを受けようとしたのですと、ユージン。
考えが明るく正しいと言い、訳官を退出させる高宗。
ユージンが朝鮮語を話せることを知った訳官は、逃げるように去って行く。
朝鮮でのそなたの本(本貫)はどこなのだ?と、高宗。
知りませんと、ユージン。
知らない?と、高宗。
きさま!陛下が下問なさっているではないか!しっかりと答えないか!と、イ・ジョンムン。
陛下の民のうちの大半は、自分の本(本貫)がどこにあるのか知りません、自分の本がどこにあるのかわからないことは、奴婢は姓がなく、主人の姓に従う場合が多いのですが、私の父の初めの主人がチェ家で、私の父と私はチェ家です・・・私の母は、それさえもなく死にました、私の父と母は奴隷でした・・・と、ユージン。
陛下、耆老所(キロソ:기로소)に元老大臣たちが入るというので、さらに下問なさることがないのでしたら、これで退けとおっしゃってくださいと、イ・ジョンムン。
これで退けと、高宗。
申し訳ございません陛下、小臣はアメリカ人という身分だけを考慮して、賤出だということを予め調べられませんでしたと、イ・ジョンムン。
調べていたとしても変わることはなかっただろう、眼差しが冷たく言い方が乾燥し、訳官の通弁内容も厭世的ではないか、朝鮮に対する感情もまた変わらないであろうと、高宗。
小臣がより慎重に扱いますと、イ・ジョンムン。
質の証書を一瞥して、去っていくユージン。
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