イ・セフンの屋敷にやってくるヒナ。
どうしてここで会おうというのだ?と、イ・ジョンムン。
風にもあたり、家も見回して・・・一種の投資でしょう・・・朝鮮が日本に渡ろうがロシアに渡ろうが、土地は残るのではないですか?(金の延べ棒を見せ)私がこの家を買おうと思います・・・逆賊の宅なので国庫に押収され、朝鮮は常にお金がないのでどうせ誰かに売ることになるし、私が買いますと、ヒナ。
仲介人を送れ、度支部(タクチブ:탁지부)に連絡を入れておくのでと、イ・ジョンムン。
そういたしますと、ヒナ。
お前の父親には会ったのか?朝鮮の地に戻ってきたので、一度はお前を訪ねるみたいだがと、イ・ジョンムン。
ご存じのはずですが、私は父がおりませんと、ヒナ。
お前の母は方方で探していると、イ・ジョンムン。
知っております、毎回同じおっしゃり様なのでと、ヒナ。
ひょっとして、私がお前に嘘をついて探しているようか?と、イ・ジョンムン。
けれど私は方法がありません、だからただ信じなければ、虚しい希望でも持たなければ・・・私に母が貴いほどに、大監にも私が持つ情報が貴重だから・・・それではもう下問なさってくださいと、ヒナ。
・・・その、黒髪のアメリカ人の男だ、お前が見るにどうなのだ?と、イ・ジョンムン。
商売人としては良いお客様ですと、ヒナ。
お客様を抜きで見れば?と、イ・ジョンムン。
大監がもうおっしゃったではありませんか、黒髪のアメリカ人だと・・・アメリカは事がよじれれば彼を朝鮮人と言い、朝鮮は事がよじれれば彼をアメリカ人と言うので、彼はただ、寂しい異邦人ですと、ヒナ。
それなら、その者には米国に置いている家族さえいないのか?と、イ・ジョンムン。
いないように見えます、賓館の部屋にも事務室にも写真一枚もないのを見ればと、ヒナ。
ひょっとして、賓館に訪ねてくる人などはおらず?と、イ・ジョンムン。
咸鏡道(ハムギョンド)から来た宣教師の書信があり、隔てなく過ごすアメリカ軍の同僚一人が賓館に共に泊まっており、数日前にアメリカから友人が一名やってきたのですが、彼は正式な訪問ではなく隠れ入りました・・・彼の部屋が何度か探られましたと、ヒナ。
それについては心当たりがある・・・すべてアメリカからの知人だな・・・朝鮮では知人付き合いしている者はいないのか?と、イ・ジョンムン。
彼の隣の部屋に、キム・アンピョン宅の若様が泊まっていらっしゃるのですが、なにか縁があるように見えます、良い縁ではないのではないかと思って・・・それと、コ・サホン大監宅のお嬢様と交流がありますと、ヒナ。
掘っ立て小屋で足の治療をしているエシン。
表情でのユージンの言葉や、籠の中でのトンメの言葉が思い出される。
スングがやって来る。
お師匠様!と、エシン。
どうしてきたんだ、怪我したところは大丈夫なのか?と、スング。
痛がる素振りをして・・・すごく痛いって、練習をさぼることはできなくてと、エシン。
オレはこうだからお前を信じないんだ、完治したなと、スング。
お師匠様、お伺いしたいことがあります、お師匠様は我々同士たちの総大将ですか?と、エシン。
オレはお前の大将さ、だけど最近はお前がオレの大将のようだなと、スング。
それならさっと座ってみてください、下っ端のようにと、エシン。
お前が座れと言ったから座るんじゃなくて、座ろうとした途中にお前が言ったんだと、スング。
はい・・・お師匠様、お師匠様の上にはどなたがいらっしゃいますか?と、エシン。
何が気になるのだ?と、スング。
その方は両班ですか?その方が守ろうとする朝鮮は誰が暮らせますか?と、エシン。
ただ問わずに「はい」と言っていたのに、今になって急にどうして?と、スング。
とある人の質問を受けたのですが、彼はただ私に尋ねただけなのに、尋ねた人も、尋ねられた私も傷ついてと、エシン。
お前が同士だと言っていたそのアメリカ軍だが、その者が巷で噂の王の証書を朝鮮に戻してくれた、イ・セフンを処断したのも、ソアが漢城の外に抜け出せるよう陸路を割ったのも、その者の助けだったと、スング。
いつも知らないのが良いとおっしゃってたのに、どうして話してくださるのです?と、エシン。
お前が知ることが、その者に重要なようで、もしかしてお前にも重要なのか?と、スング。
はい・・・と、エシン。
もしかして知っているのか?その者の出自を?と、スング。
お師匠様はご存知なのですか?と、エシン。
オレが初めてお前をここに連れてきたときに冷遇した理由は、この険しい道を何日か来て、元気をなくして落ちていくだろうと思ってだった、けれどお前は10年もやって来た、お前がどんな質問をどのように受けても、お前はその10年を答えてきたと、スング。
それなら、私は・・・と、エシン。
けれど・・・(跪き)・・・お嬢様、私がお嬢様とこのように過ごすのが世間に知られれば、私は班常(パンサン:반상)の法度をないがしろにした罪人です、綱常罪(カンサンジェ:강상죄)で私は死を免れることはできません・・・お嬢様の意思とは関係がないでしょう、法がそうなのです、世の中がそうなのです・・・だから、ダメなことです、その者との縁ももう手放さねばなりませんと、スング。
涙するエシン。
※班常・・・両班と常人 ※綱常罪・・・下の身分の者が無礼を働く罪
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