イ・ビョンホン)、キム・テリ、キム・ミンジョン、ユ・ヨンソク、ピョン・ヨハン主演のキム・ウンスク脚本によるtvN韓国ドラマ
ミスター・サンシャイン(미스터 션샤인)
の最終回(第24話)視聴感想(一部あらすじ含む)です。
ミスター・サンシャイン(미스터 션샤인) 作品データ
- 韓国tvNで2018年7月7日から放送開始の週末ドラマ
- 脚本:キム・ウンスク(김은숙) 『トッケビ』『太陽の末裔』『シークレット・ガーデン』
- 演出:イ・ウンボク(이응복) 『トッケビ』『太陽の末裔』
- あらすじ:辛未洋擾(シンミヤンヨ:신미양요:1871)時に軍艦に乗船しアメリカの地を踏んだある少年が、アメリカ軍人の身分で、自分を捨てた祖国である朝鮮に戻り駐屯し、そこで起きる出来事を描いたドラマ
ミスター・サンシャイン 最終回(第24話)視聴感想(一部あらすじ含む)
最終回を迎えました。
視聴率は全国/首都圏でそれぞれ18.129%/21.828%と、共に自己記録を大幅に更新しました。
前者は『トッケビ』に0.551%及びませんでしたが、後者は2.228%勝りました。
興行的には間違いなく大成功です。
※ブルーがトッケビ、ピンクがミスター・サンシャイン。17話以降トッケビは横一線となっていますが、トッケビは全16話です。比較しやすいように、そのように表示しました。
首都圏視聴率も含めたグラフはこちら → 韓国ドラマランキング
トッケビの視聴率グラフはこちら → トッケビ 視聴率 第15話16.917%、最終回18.680%でケーブル系1位 20170121
ピクニックの終わり、グッバイ・ミスター・サンシャイン
23話までのミスター・サンシャインは、まるで長編の映画を連続してみているような気分でした。
映像美はもちろんのこと、あたかも時間と空間を俯瞰しているかのようなキム・ウンスク作家の筆力で、飽きのこない展開が続きました。
けれど、何かこう心を揺り動かされる要素が足りない気もしていたのです。
そんな物足りなさがラストの展開への布石だったかのように、昨日の最終回では全てのパーツが組み合わさりました。
そして、キム・ウンスク作家の前振りはブラフではなくサッドエンディングとなってしまいました。
視聴者の感情におもねった反正はなかったわけです。
巷では事前制作ドラマの失敗があるために、視聴者の感情を軽視しているなどと、わけのわからない論評をする人たちがいます。
しかしながら、それは作家に筆力がないからで、圧倒的な筆力があれば彼女のように常勝することができるのですよね。
ユージン・チョイことチェ・ユジンは、結局のところ、生まれながらにしてサッド・エンディングの当事者だったのですね。
それでも、生の後半には独自のLOVEの形を見出し、LOVEを貫くために敢えて死んでいったので、幸せであったと言えなくもないでしょう。
ただ、ただですよ。
最後の銃弾で連結器を切り離すあのシーン。
個人的には腑に落ちない点があります。
黒田男爵を人質にとったまま、日本兵がいる方の車両に乗り込んで連結器を切ったのですが、日本兵だけを追いやって連結器を切ればユジンは死なずに済んだ気がするのですが・・・。
しかも、機関車はトンネル内に入って行ったので、煙で何も見えず煙幕状態になるはず。(うちのオカンがそうだったと言ってた。映像ではなってないけど)
生き延びるすべは色々とあった気がします。
ま、そんな無粋なことは言ってはいけないのでしょうね・・・。
高貴で偉大な者、ピクニックのような朝鮮で眠る。
この物語はピクニックだったのですから。
ノーベル賞に値するキム・ウンスク作家の筆力
彼女は1話あたり日本円にして300万円のギャラを得る。
そう思い込んでいたのですが・・・。
直近の記事を見ると、1千万円と書いてありました。
今回のストーリーは24話だったので2億4千万円です。
ま、納得のギャラですね。
韓国ドラマウォッチャーとして、個人的には特に脚本家を重視して視聴する作品を選んでいます。
やはりその中でも、ぶっちぎりの実力を持っているのがキム・ウンスク作家です。
ノ・ヒギョン作家などは緻密で破綻がなく理路整然としているものの、興行的に優れた脚本家となると、キム・ウンスク作家には及びません。
他の作家の多くがおそらくキム・ウンスク作家をベンチマークしてストーリーを構築しているはずですが、クリエイティビティーに大きな開きがあるのか、そこまで到達できる人が皆無です。
当作品にいたるまで『相続者たち』『太陽の末裔』もほぼ全訳してきましたが、単語のチョイスや表現力を目の当たりにして、時々震えることがあります。
震えると言うより揺さぶられる感覚でしょうか。
思わず『うわ~』と、口から出そうになるのです。
あらゆるジャンルで、天賦の才を持った人のパフォーマンスに直に触れたときには、多くの人がきっとそうなることでしょう。
彼女は作家なので、文字に霊が宿っており、それを読むことで才に触れることができるのです。
ただ残念なことに、自分のアビリティーが足りないために、2・3割は見逃し気付けないでいるような気がします。
特に今回は、過去の作品に比べて難解だったため、取りこぼしが多く忸怩たる思いをしました。
それにしても、この才能は全世界にフラットに評価されるべきだと思うのですが、どうでしょう?
昨今ではノーベル文学賞の選考基準もかなり変わってきていますし、世界の多くの人を揺り動かす台本を書く作家も、同列に評価するべきだと思います。
実際に数で言えばアジアの十数億人が彼女のドラマに触れており、リーチ率で言えば、そのへんのハリウッド映画なんて足元にも及ばないレベルです。
ひょっとすると、10年後、20年後に、本当に受賞するなんてことがあるかも知れませんよ!
最優秀助演賞はイ・ジョンウンとイ・スンジュン?
別のコラムでも書きましたが、キム・ウンスク作家は脇役の生かし方が天才的にうまいのが特徴。
粒立たせ個性を引き立たせることで、当該脇役ののちのキャリアをも華々しく輝かせます。
俳優陣たちも、のちの人生を考えると、彼女の作品にはノーギャラでも出たいんじゃないかと思えるくらいに、視聴者に強烈な印象を与えます。
今回ピックアップしたいのはハマン宅(テク)を演じたイ・ジョンウンと、高宗(コジョン:고종)を演じたイ・スンジュン。
シリアスな内容だっただけに、彼女の早口方言と風貌が適度な癒やしになっていました。
2015年あたりから、色々なドラマの端役として見る顔でしたが、今回のハマン宅役で一気にブレイクしました。
大ヒットドラマの主人公付きの下女ともなれば露出も多いので、一気に認知度もアップしたことでしょう。
高宗といえば、朝鮮三大ダメ王の一人に度々ノミネートされる王です。
そんな王の内面の苦悩や、時代に翻弄される姿を彼は見事に演じきりました。
もちろん、キム・ウンスク作家の筆力あってのことですが、ドラマを視聴して感化された歴史愛好家の中から、高宗の再評価の声も高まっています。
韓国では良し悪しは別にして、国民の声がアカデミックな場にも反映されやすいところがあるので、今後は高宗に対する同情的な位置づけが高まるかも知れません。
余談ですが、セリフの中で彼の言葉が一番難しかったです。
歴史ドラマフリークでも太刀打ち出来ないくらいに(汗)
日本に関する描写は残念
人物描写などは朝鮮人の目に写った当時の日本人像の一端なので、敢えて何もいいません。
彼らにとって日本兵は鬼神かトッケビの類だったかも知れませんから。
ここで突っ込みたいのはもう少し細かなところです。
ちょうちん
いつも韓国ドラマを見て気になるのが、工業的に作ったものを歴史ドラマに使ってしまうところ。
特に彼ら漢字に親和性がないので「業者に頼んで作りました」というような幟を使ったり、明らかに下手くそな字に疑問を持たなかったりします。
今回そのような視点で気になったのは提灯。
明らかにプリントでしょ?
ちゃんと筆書きで作り時代考証をしてほしかったですね。
日本のテレビ局や専門の会社と提携してそれっぽい物を借りたりできないのでしょうかね?
廃刀令
日本国内で廃刀令は、1876年(明治9年)3月28日に発せられています。
その後も、袋に入れて持ち歩いたりはできたようですが、少なくとも日本では、あのように帯刀した出で立ちだった武臣会の面々は、見つかり次第逮捕されました。
ざっくり鑑みても、時代考証が3~40年ずれています。
朝鮮では?と言われると、国が弱体化している状況なので?です。
あらすじはじっくりと
どのドラマも、最終回を見終わった後のあらすじ起こしが一番きついんです。
それは、視聴し終わった時点で自分の中でそのドラマが完結してしまうから。
なので、最終週や最終話だけあらすじを書いてない作品が少なからずあります。
とは言え、この作品については最後までやりますよ。
ただし、これまでよりは少しペースを落とします。
当作品は1話あたり1万4千字前後の文字数であらすじを起こしているので、一気に仕上げるのは結構しんどかったのです。
これまでの22話分でも30万字は越えていますから。
というわけで、気長に待っていて下さい。
今日中に23話の冒頭は書いておくつもりです。
では~!
文責:韓国ドラマあらすじ団
コメント
お疲れさまです。ほぼ毎回、英語字幕で見終えてからここに戻り、再確認をしてきました。理解する上で大いに助かりました。提灯や韓国人俳優の日本語などはもうすこし丁寧にやってもらえればありがたい(没入感として)と思いました。かなめの役で日本人俳優の起用など。内容的に日本人にはきついでしょうが。時代的に植民地化直前の朝鮮の動きの一端を垣間見る思いでした。ありがとうございました。